眠った村と壊れた橋。

レビュー多。

創作のブログ記事

創作(ムラゴンブログ全体)
  • 消えぬ傷(習作)

     虫の合唱が聞こえる。涼しげな、落ち着かせる声が快い。何という虫なのかは、詳しくないぼくには不明だ。しかし、耳ざわりのよい音色を聞くだけでもう十分であり、どういう虫が鳴いているのかを突き止めることは無用だ。  木が弾ける音も聞こえる。パチパチと何だか気味のいい音だ。というのは、ぼくのそばで、炎が燃... 続きをみる

  • ヒーローと、おとなと、こどもと。

    思わず涙がこぼれた。 自分の信じる正義が、目の前にある偶像が、否定され、軽んじられ、打倒されようとしたためだ。 頑張れと、ぼくは叫んだ。必死に叫んだ。 悔しいが、力なきぼくには、そうすることが精いっぱいだった。 ――しかし、ぼくはすでに大人になったのではないか? 今更、正義だの不正だのにこだわるよ... 続きをみる

  • 文法違反のイェロー・カード。

     ひさびさの更新。最近は書く価値のあるネタか書く意欲がありませんでした。  最近毎日のように文章表現の練習をしているのですが、なかなか上達しません。  ひらめきとして、自分の短所をなくすより長所を伸ばす方がやっぱりいいよね、という思いがあるので、長所の伸びしろに働きかけていってるのですが、「あれ、... 続きをみる

  • 等間隔のベンチ(習作)

     湖のすぐそばに等間隔に置かれた5台のベンチ。石製で新しくはなく、はげていたり欠けていたりしていて、造りはお粗末だ。しかし、座れぬほどではない。その間隔は10メーターほどで、まぁまぁ大きい。首を回して見てみたら、隣のベンチは開いた手のひらより小さい。  最初、誰もベンチには座っていなかった。その脇... 続きをみる

  • 投稿報告

    以下のサイトで、『あの花』の二次創作を投稿しました。もしよければお読みください。お願いします。 https://novel.syosetu.org/81055/

  • (習作)《断想その壱『星空』》

     さっきベッドに入る前、カーテンを閉めようとした時、ふいに空を見てみたら、思いのほかたくさんの星が浮かんでいたから驚いた。  こんなにたくさんの星が見えることなんてあったかな、と疑問を持つくらい、夜空にはつぶらで明るい星が多く詰まっていた。  しばらくその光景を眺めていたかったが、明日の朝が早いの... 続きをみる

  • (習作)刺し殺しと同情の葛藤

    《書く前の心がけ》  出来るだけ単純に、プレーンに書こうと意識しようと思います。  テレビや漫画などのフィクションでいつか見たようなことが起こった。つまり、ぼくのよく利用する大通りに、通り魔が出現したのである。  通り魔は男で、彼はどこかの飲食店から持ち出してきたかのような、刀身の長い包丁を、捕ま... 続きをみる

  • (習作)『恋していたあの50センチ』

     距離はいつも50センチメートルだった。ぼくの昔の彼女、しーちゃんとのあいだに空いた、いつもの距離は、そう、50センチ。  もう別れてしまったけど、今でもよく当時のことは覚えている。ぼくが彼女と付き合っていた、およそ二十年前の、まだ高校生だった頃のあの日々。なんてったって、それがぼくにとって唯一の... 続きをみる

  • (習作)暗いお話

     ぼくが実の家、すなわち親の膝下を離れてから、かれこれ一ヶ月経つ。  それは、一人暮らしを始めるのではなく――何か他の、大人っぽい、恥ずかしい思いをせずに済むような言い方があれば良いのだが――家出である。  ぼくの年齢が十代の半ば、ないしは後半であればまだ、家出しても、それは若気の至りとか、青春の... 続きをみる

  • (習作)ワンダー・アラウンド・テール~かれらがめぐるもののこと~

     或る大きな球体、ボールやメロンのようにまんまるで親しみやすく、それでいてどこか神秘的な縁遠さのある、その周りの道を、ぼくは随分長い時間さまよっている。  道は複雑に入り組んでいて、一本の道は何本もの似たような枝道に分岐し、また、道と道の間は青々と茂る木々に遮られて遠くを見渡すことが出来ず、その様... 続きをみる