劇場版『あの花』へのAmazonレビューの写し
★★★★★『未来に刻まれた、あの花の名前』
「この映画に描かれている時期は、めんまが幽霊として現れた夏の一年後。じんたんたちは高校二年生になっている。
あの夏よりちょうど一年過ぎた後の同じ季節を、去年のことを振り返りつつ、めんまを除く皆でしみじみ過ごすというのが、主なストーリーらしい。そのため、回想シーンは多めだ。
その回想シーンの中で印象的と思われたのは、めんまの出自と、彼女の後の性格を形成する孤立の経験だ。
ただでさえ感受性の強い彼女は、その経験によってあのような儚い運命を辿ることになったんじゃないか?
それはさておき、
めんまの心の深部にあるメッセージを汲み取ってやれたじんたんは、やっぱり偉い。
何となく微かな感じのするかけがえのない友だちを、過去に失いはしたけど、彼はその存在の痕跡をぎゅっと逃さずに自分の手に、あるいは心に捕え、現実に保つことが出来た。それはきっと、遠い未来まで大事に保存されることだろう。もしかすると、彼が他界した後にもなお。
「かっけぇんすよ」の賛辞に値する。
しかし、こういうアニメがこれからも作られ続けることを、わたしは切に願いますね。
(幽霊の頼みごとのような)静寂の言葉や、流れる風、漂う空気の心を感じ取れるひとの物語が、途絶えずに継承されていくことを、ですね。
この映画は、テレビオンエア版と同様、分かりよい内容、物語の運びではないと思います。謎や難解な点が少なくないでしょう。
しかし、その謎は性急に解決される必要のあるものじゃなくて、まるで亡くなった親族についての中々思い出せない事柄のように、穏やかに、末永く残り記憶の中に続けるもの、とわたしは感じます。
ひとの心と非常に親和的な印象を、その謎は持っているように思えます。
今は分からなくても、理解し得なくても、いずれ分かるのではないか? そんなほのかな希望を、わたしは胸の中に抱きました。
テレビ版を見た時と同じく、この映画でも感動させてもらえました。
スタッフの皆さんに多謝です。」
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- 2014-03-05
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