眠った村と壊れた橋。

レビュー多。

太宰治『人間失格』ブクログレビュー




人間失格

著者 : 太宰治


発売日 : 2012-09-27

 言わずと知れた著者の代表作。全体はほとんど陰鬱な雰囲気に包まれている。主人公は変わり者の自覚があり、世間からはぐれて不良な脱落者となるが、何人かの恋人や、悪友、親戚を通じて、かろうじて一縷の関係を世間と保つ。そんな、世のアウトサイドにいる主人公の物語が『人間失格』。
 この物語は雰囲気が陰鬱だと言ったが、明るいと思えるシーンが例外的にある。それは主人公が、タバコ屋の生娘に恋するシーンである。その娘、よしこは、奇跡的に純朴な女の子だった。
 よしこと出会った主人公は、その縁(えん)により自分が一廉の、人前に出ても恥ずかしくないものになれるかも、とほのかな自信を持つが・・・・・・。
 
 よしことの出会いから終わりまでの一連のシーン。幸不幸の対照が鮮烈です。わたしはそこがいちばん印象的だと思いました。


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